出版社のAI開示ポリシー比較
主要な出版社五社とICMJEは、AIを著者にはできないという点では一致しています。ただし、認められる使い方、除外範囲、宣言を置く場所はそれぞれ異なります。この比較は2026年8月2日に確認したものです。常に優先されるのは、投稿先ジャーナルの現在の指示です。
HumanPen チーム
· 8 分
すべてが一致している唯一の点
Elsevier、Springer Nature、Wiley、Taylor & Francis、SAGE、ICMJEは、いずれも同じ著者資格の規則に行き着きます。生成AIを著者や共著者として記載することはできない、というものです。
その理由は各社のポリシーで共通しています。著者資格は成果物に対する責任を伴い、その正確さや出版後の問い合わせへの対応も含まれますが、ツールにはそれを負えません。この分野で曖昧さがまったくない部分は、ここだけです。
これより先は出版社ごとに異なります。従うべき一般的な規則はなく、調べるべき個別の規則があるだけです。
人の責任は著者欄の先まで続きます。著者は、事実と文献の確認、非公開資料の保護、ライセンスと知的財産条件の確認、そして最終原稿が自分の仕事を表していることの確認に、引き続き責任を負います。開示は使用を記録するものであって、ツールに責任を移すものでも、ミスを免れさせるものでもありません。
- AIを著者にしない。 ツールが原稿を承認したり、利益相反を管理したり、出版後の質問に答えたりすることはできません。
- 人による検証。 生成された主張、コード、画像、文献は、原典と研究記録に照らして確認しなければなりません。
- 守秘義務はそのまま適用されます。 未公開の原稿、査読資料、機微なデータは、該当するポリシー、同意、サービスの利用条件が認める場合を除き、ツールに入力すべきではありません。
- ジャーナルの規則はより厳しいことがあります。 出版社全体のポリシーは下限であって、あらゆる使用がどの誌でも認められるという約束ではありません。
宣言をどこに置くか。そしてそれは同じ場所ではない
宣言は内容が十分でも、投稿のしかるべき場所に置かれていないことがあります。出版社のポリシーと投稿先ジャーナルの著者向け指示の両方を確認してください。投稿システムの質問やカバーレターの要件も含まれます。
- Elsevier - 原稿の末尾、文献リストの直前に、Declaration of generative AI and AI-assisted technologies in the manuscript preparation process という見出しの新しいセクションを設けて宣言します。ジャーナル向けポリシーは2026年6月に更新されました。どのページを読んでいるかに注意してください。Elsevier は書籍と委託コンテンツに別のポリシーを置いており、両者は異なります。
- Springer Nature / Nature Portfolio - LLM の使用は Methods に記載すべきとされ、Methods がなければ別の適切なセクションに記載します。2026年8月28日に読んだ時点で、同ページはコピー編集を除外対象として扱っていません。AI の使用をリスク段階に分類しており、「Extensive copy editing or writing support」(大規模なコピー編集または執筆支援)はamber(琥珀)の段階に置かれ、「Permitted with human oversight, verification, and transparency through disclosure.」(人による監督と検証、そして開示による透明性を前提に許可される)とされています。
- Wiley - Methods または Acknowledgements に、透明かつ詳細に記述します。またポリシーは、知的財産への影響についてツール自身の利用条件を確認するよう著者に求めています。
- Taylor & Francis - 同社の著者資格ポリシーは、生成AIの使用をツール名と目的を明記して示すことを著者に求めています。ジャーナルの指示に従うことが前提です。
- ICMJE - 同組織のAI支援技術に関するガイダンスでは、執筆支援は Acknowledgements に、データ収集・分析・図の生成は Methods に置くとされています。さらにカバーレターと投稿原稿での開示も求めています。
- SAGE - 方法論、分析、結果、結論に影響する生成的な使用には開示が必要であり、現在のポリシーは Methods または Acknowledgements を適切な箇所として挙げています。
ICMJE の切り分けは他社の区分を横切ることに注意してください。ディスカッション節の文章表現を助けるためにモデルを使い、さらにデータセットの整理にも使ったなら、それは二か所での二つの開示です。
一つの作業工程が、時間の経過とともにポリシーの区分をまたぐこともあります。アウトラインの依頼、分析コードの生成、インタビュー資料の翻訳、完成した段落のコピー編集は、同じチャットで起きたとしても四つの異なる使用です。投稿時に記憶をたどって工程を再現しようとするのではなく、作業と同時に使用記録を残してください。
それぞれが何を除外しているか
複数のポリシーが限定的な補助的使用を除外していますが、その定義の大きさは同じではありません。開示の除外は、正確さ、守秘、人の責任からの除外ではありません。
- Elsevier は、文法・綴り・句読点の基本的なチェック、生成AIを呼び出さない文献管理ソフトの基本機能、アクセシビリティ専用の障害関連支援技術に組み込まれたAIを除外しています。
- Springer Nature はこの除外をやめました。 本記事を2026年8月2日に初めて確認した時点では存在していました。2026年8月28日に読み直すと、ポリシーはリスク段階で運用されています。表現を整える作業は緑の段階(「Permitted. Disclosure enhances trust and transparency」(許可される。開示は信頼と透明性を高める))にある一方、「Extensive copy editing or writing support」(大規模なコピー編集または執筆支援)はamber(琥珀)の段階に置かれ、「Permitted with human oversight, verification, and transparency through disclosure.」(人による監督と検証、そして開示による透明性を前提に許可される)とされています。「does not require disclosure」(開示は不要)という語句は、同ページでは検索結果がゼロです。二十六日間で、除外が開示に変わりました。ここに書かれたこと、この行を含めて、頼る前に現在のページを確認してください。
- Taylor & Francis は文法と綴りのツールを除外しています。
- SAGE は、著者の作業に改善を提案する支援的なツール(開示は不要)と、研究内容に影響する生成的な使用(開示が必要)を区別しています。現在のポリシーは、モデルを一次資料として扱うのではなく原典を引用すべきだとしており、生成画像のような代表的な成果物についてはツールの引用が適切な場合があるとしています。
よくある境界は、人が書いたテキストの限定的な修正と、実質的な内容を変更または追加する生成との間に引かれます。ただし文言が問題です。「文法と綴り」は「AI支援のコピー編集」より狭く、自律的な書き換えは著者の段落から始まっていても、どちらにも当てはまらないことがあります。
製品名ではなく使用を分類してください。同じアプリケーションが、あるセッションでは綴りチェックを行い、別のセッションでは文献レビューの段落を生成することがあります。自分のテキストから始めたからといって、書き換えが除外されると考えてはいけません。実際の生成の度合いをポリシーの定義と比べ、境界が不明なときは編集部に尋ねてください。当サイトの倫理ページは HumanPen の範囲を説明していますが、ジャーナルの開示規則に優先することはできません。
妥当な読み手がその使用を別のように分類しうる場合、除外の拡張解釈に頼るより、簡潔で正確な開示のほうが安全です。
大規模な観測コーパスでは、開示はまれだった
5,114誌と5.2百万本以上の論文を対象としたPNASの分析は、ジャーナルの約70パーセントが何らかのAIポリシーを導入していたと報告しています。研究者が全文を検証できた2023年以降の75,172本の論文のうち、特定できた開示声明を含んでいたのはおおよそ76本、つまり約0.1パーセントでした。また同研究は、開示を義務付けるジャーナルとそうでないジャーナルの間で、AI支援執筆の推定増加に統計的に有意な差を見いだしていません。
この結果は、検出できた声明を測ったものであり、AIの使用すべてを測ったものではありません。ツールを使っていない著者もいるでしょうし、除外対象に当たる使用もあるでしょう。検索対象のテキストの外側にある書式や補足資料に声明が置かれていたり、研究者の識別方法から文言が漏れたりした可能性もあります。声明が検出されないことは、未開示の使用の証拠にはなりません。
この知見は、実装のギャップとして読むのが最も適切です。ポリシーは、目に見える報告慣行より速く広がりました。それは個々の著者に多数派に倣えと言っているわけではありません。あなたの義務は自分の投稿を支配するポリシーから生じますし、編集者は他の論文がどれほどまれにしか開示していないかに関係なく、使用について尋ねることができます。
推定されるAI支援執筆に対してポリシーの効果が見られない点も、慎重に扱う必要があります。有意差がないことは、ポリシーが無意味だという証明にはなりません。ジャーナルは分野、運用、時期、著者層が異なるでしょうし、テキストに基づく推計自体にも誤差があります。この研究で示されているのは、規則を公表しただけでは明確に測定できる差を生まなかったということです。
実際に何をすべきか
- 出版社の一般ページではなく、投稿先ジャーナルの著者向けガイドラインを読んでください。 個々のジャーナルは出版社の既定より厳しくします。出版社のポリシーは下限です。
- 作業中に使用記録をつけてください。 ツールとバージョン、日付、目的、該当箇所、採用した実質的な出力、行った人的検証を記録します。
- ツール単位ではなく目的単位で開示してください。 ICMJE では、執筆とデータ解析に使った同じモデルが二つのセクションに入り、さらにカバーレターにも入ります。
- 行ったことを正確に記述してください。 「AIを使用」では曖昧すぎます。文法を修正したのか、著者が書いたテキストを翻訳したのか、コードを生成したのか、アウトラインを提案したのか、本文を起草したのかを書きます。
- 検証と責任を文書化してください。 著者が出力を見直し、原典を確認し、ジャーナルの書式が求める箇所で最終的な内容に責任を負うことを明記します。
- テキスト以外の規則は別に確認してください。 画像生成、データ解析、コード、査読資料、個人データには、原稿内の宣言を超える制限が課されていることがよくあります。
- 投稿時に置き場所を確認してください。 原稿のセクション、謝辞、方法、カバーレター、ポータルの質問がすべて求められることがあります。
役に立つ宣言は、宣伝文句なしに四つの問いに答えます。どのツールのどのバージョンか、何をしたか、作業のどこに影響したか、人が結果をどう確認したか、です。たとえばジャーナル固有の声明なら、Discussion の著者自身が書いたテキストに特定のツールを言語編集のために用い、その後著者がすべての変更を見直し、すべての引用を検証した、といった具合に書きます。ジャーナルが指定する書式があれば、それを使ってください。
使用が禁止されている可能性がある場合、たとえば非公開の査読資料をアップロードしたり、ポリシーに反して研究画像を生成したりする場合、開示はそれを遡って許可されたものにはしません。投稿前に手を止め、正確な説明を添えて編集部または研究公正担当窓口に連絡してください。
投稿ファイル用にポリシーのスナップショットを作りましょう。出版社のポリシー、ジャーナルの指示、ポータルの文言をアクセス日とともに保存し、誰が確認したか、編集部からどんな回答を得たかもメモします。これは、一般的なポリシーが草稿から受理までの間に変わったときや、ポータルが著者ガイドより狭い質問をしてきたときに役立ちます。その記録が、著者が各段階でどの規則を合理的に適用したかを示します。
初回投稿前だけでなく、改訂後にも再確認してください。査読者が新しい解析、翻訳された抄録、図解サマリー、広範な言語変更を求め、最初の宣言ではカバーされていなかった新しいAI使用が生じることがあります。開示を一度きりのチェックボックスとして扱うのではなく、使用記録と声明を原稿とともに更新してください。
ポリシーは変わります。Elsevier は2026年6月にジャーナル向けポリシーを改訂しました。SAGE の現在の文言も、生成コンテンツを引用するだけでよいとしていた以前の要約とは異なります。このページは2026年8月2日に確認しました。依拠したポリシーとジャーナルの指示を保存し、投稿の直前に再確認してください。
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